Azuki堂だより

バックナンバー

[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

2021年2月14日(日) 歴史探偵 麒麟がくる 問われているものは

 今日(2021・02・14)の東京新聞社説は、「歴史探偵が残した言葉」と題したものでした。
「『歴史探偵』『昭和史の語り部』という愛称がぴったりあてはまる人でした.」とありました。
 半藤一利さんは、なぜ昭和の戦争が始まり、どのように終わったのかを探求した人でした。著作の中で「熱狂に流されないためにはどうしたらいいか、と問われれば、歴史を正しく学んで、自制と謙虚さを持つ歴史感覚を身につけることですと、答える」(『あの戦争と日本人』)

 先日のNHKアーカイブスで保坂正康さんが半藤さんの思いを語っていました。歴史を学んで「絶対という言葉は使わない」ただし「戦争だけは絶対反対」だけには使ったのですと40年に及ぶ付き合いを回想する中で、このことを語っていました。

 井上ひさしさんの名言「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことを真面目に書くこと。」を意識していたという半藤一利さんでした。

 店主も、古書店主が中心メンバーの勉強会(2年に一度の割合の持ち回りで、各自が「文学」「演劇」「民俗」「歴史」「メディア」など、自由に対象を選び、約1時間半程度の時間で発表する。)に参加させていただき、昭和史の中で興味ある事件・出来事を浅学をかえりみず挑戦?しています。今までに、「二・二六事件」、「松川事件」、「大本教事件」、「近衛文麿の時代と大政翼賛会」、「開戦の詔勅と終戦の詔勅を読む」をしらべて発表しましたが、いずれも資料の読み込み不足や、自分の非力ゆえの独自の考えなどまとめることができずに、先達の方々の後を表面だけなぞったものばかりで気恥ずかしい気持ちになったものです。

 ただ、古本屋をしながら、歴史を学ぶことは持続したいという気持ちがあったので、この勉強会は、2年に一度、まともに歴史と向き合うモチベーションを維持させてくれています。
 コロナ禍のもと、この勉強会も1年ほど休会となっています。歴史探偵の半藤さんの足元にも及びませんが、また昭和の歴史に向きあい、次の課題を思案しているところです。
皆さんと同様にコロナ禍の早い終息を願っています。

追伸

 先日、最終回を迎えましたが、大河ドラマ「麒麟がくる」。店主も家人と一緒に毎回楽しみにしていました。

 東京新聞の社説の横に「時代を読む」というコラムがあり宇野重規さんが書いています。
大河ドラマ「麒麟がくる」評です。

 感心した三つの点を挙げていました。第一、「明智光秀」像を矮小な人間ドラマから変え、事件の複雑な、背景をきちんと描き、第二、信長に人物像も「繊細で感情豊かな人物として表現」、第三、登場する女性たちの魅力を「自分で判断し、行動し、はっきりと考えを口にする。」「特に架空の人物の駒,伊呂波大夫が生き生きと活躍」「男性の登場人物をつなぎ救った彼女らの存在なしにドラマは成立しなかった」と。

「世界の混乱は続く。それでも人々が平和に暮らせる社会に向けて、それぞれの場所で努力し続けているひとたちがいる。衝突や悲劇があっても、人やその思いは残り続けるという希望を、このドラマはコロナに明け暮れた一年に示してくれた。」
そして、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長の女性蔑視発言に、「イベント開催の是非を含め、問われているのは日本社会そのものである。」
「時代劇に現代人が登場するのに、現実の政治に時代とずれた人物が横行するのはおかしいだろう。」と締めくくりました。

 引用が長くなりましたが、ぜひ紹介したく載せさせていただきました。

 昨年、菅首相により日本学術会議に任命されなかった6人のなかの一人が宇野重規東大教授です。

[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

azukido@jcom.zaq.ne.jp
Akiary v.0.61