Azuki堂だより

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2019年2月2日(土) ムンク展 節分

新年1月もあっという間に過ぎたように感じます。
またまた、出し遅れの挨拶となってしまいました。明日は節分、そして4日は立春。
今年もよろしくお願いいたします。
 
世界でよく知られる名画≪叫び≫を描いた画家、エドヴァルド・ムンクの大回顧展が
昨年から、東京・上野の東京都美術館で開催されており、先月、会期末近くでしたが行ってきました。

画家の故郷、ノルウェーの首都にあるオスロ市立ムンク美術館が誇る
コレクションを中心に、代表作≪叫び≫など油彩の名品約60点と版画などを加えた約100点が展示されていました。

≪叫び≫には複数のバージョンがあること、また多くの版画を作成していたことに驚きました。また、自画像の多くを今どきの言葉で言うと「自撮り」のセルフポートレートを撮って製作していたことにも斬新さを感じました。

ムンクの生い立ちを知ることができ、彼を取り巻く家族や女性たちに翻弄され、80年の生涯のそれぞれの時代を垣間見ることができたような気がします。
音声ガイダンスを聞きながら作品を見て回りましたが、最終日前の金曜の夜でしたので
会場は混雑を極めておりました。
しかし、一つ一つの作品に、ぎゅっと心をつかまれるような不思議な力を感じました。

もう少しゆっくり見ることができればよかったなと思いますが、すばらしい催しでした。
以下、引用となりますが、
「芸術は、私の生活に、一つの意味を与えた。
 わたしは芸術を通して、光を求め続けて来た。
 わたしの芸術は、わたしに必要な、杖であった。」

「私は見えるものを描くのではない、見たものを描くのである」
「読書する人や編み物する女のいる室内画を、もう描いてはならない。
 呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生き生きとした人間を描くのだ」
「夕暮れに道を歩いていた−一方には町とフィヨルドが横たわっている。
 私は疲れていて気分が悪かった−立ちすくみフィヨルドを眺める− ̄
 太陽が沈んでいく−雲が赤くなった−血のように。
 私は自然をつらぬく叫びのようなものを感じた――叫びを聞いたと思った。
 私はこの絵を描いた−雲を本当の血のように描いた−色彩が叫んでいた。
 この絵が「生命のフリーズ」の「叫び」となった」

展示の途中に彼がノートに残した言葉の数々。
これからも機会があれば芸術に触れていきたいと思います。

【Azuki堂目録より】
芸術・美術関連の書籍をご案内いたします。

「脳は絵をどのように理解するか―絵画の認知科学」
ロバート・L. ソルソ 著 鈴木光太郎 小林哲生 共訳/新曜社/2003発行/\1,700
初版第6刷 カバ 

「聖書が生んだ名画 」
保坂清/玉川大学出版部/1996発行/\1,000
第2刷 カバ キリスト教、聖書の世界。そこから生まれた絵画や彫刻など優れた美術作品のもつ本当の意味と価値

「色彩学校へようこそ 」
末永蒼生 江崎泰子 編著/晶文社/1993発行/\1,100
第4刷 カバ 人間はなぜ色を求め、色に喜びを感じ色を使い続けてきたのだろうか 色彩の世界への扉をひとつひとつ開けていく  


「盗まれたフェルメール「 (新潮選書)(90年3月18日フェルメール「合奏」がボストン美術館から盗まれた。今も行方不明のままである)
朽木ゆり子/新潮社/2000年発行/\800
初版カバ 帯小シミ 美術品盗難史上においてかなりのツワモノであるフェルメールに焦点 美術品の盗難をめぐる知的興奮の書

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